高齢者のオーラルケア 義歯装着者のオーラルケア
なぜ、義歯を装着するのか
一般的に義歯は失った歯の機能を回復するために装着すると考えられています。しかし、現在ではこの他にもさまざまな高齢者の義歯装着による効果が報告されています。
例えば、「義歯を装着していた方が外していた時より嚥下までの時間が短くなった」。つまり、義歯装着によって口腔内での食物の処理が円滑になったと解釈できます。このことは、誤嚥のリスク減少、食事時間の短縮、短縮による疲労の減少なども期待できます。この他にも義歯を装着する事によって歩行が安定したという報告もあります。このように、適合の良い義歯は口腔のみならず全身状態への好影響も期待できます。
義歯の清掃は毎食後に
不潔な義歯には、多くの微生物(誤嚥性肺炎・日和見感染症・心内膜炎起炎菌、MRSA、カンジダ菌、など)が存在します。免疫力の低下した高齢者にとって清掃不良の義歯は、生命を脅かすものになりかねません。したがって、毎食後の口腔ケアの一環として義歯清掃は必要不可欠なのです。視力の低下した高齢者には、鈎歯や孤立歯の周囲が不潔な場合が結構ありますので注意してください。
特に就寝時は、特別な場合を除いては義歯を外して清掃後、水に浸けておいた方が良いでしょう。また、定期的に義歯洗浄剤を使用することもお勧めします。
その他
- 食事の時だけ義歯を装着するという人もいるようですが、義歯の装着により顎位は変わり循環動態も変動することがあります。少なくとも食事の30分程前から装着して慣らしておきましょう。
- 食後の口腔ケアは、義歯を外してスポンジブラシ、ガーゼなどで大きな食物残渣をふき取った後、粘膜ケアブラシで口腔内を清潔にしてください(第1回、第2回を参照)。
- 口腔乾燥の方が義歯を使用すると粘膜の間の潤滑が悪く粘膜を傷つけたり痛みを感じることがあります。このような場合には、清潔にした義歯に湿潤剤を塗布して装着すると義歯の安定と粘膜の保護に効果的です。
- 義歯の清掃は、流水下でブラシによる清掃(機械的清掃)がバイオフィルムの破壊に効果的です。この時、下に水をはった洗面器やタオルなどを置いておくと、義歯を落としても破損を防げます。
- 認知症の方の誤飲防止のために、義歯洗浄剤は手の届かないところに保管してください。
義歯の表面には食物残渣やプラークなどが付着しています。毎食後、義歯を外して清掃することを励行してください。義歯専用のブラシには、義歯の粘膜面や人工歯列など凹凸の少ない部分の清掃に適した植毛と、クラスプなどの金属部分や細かい部分の清掃に適した2種類の植毛のあるものが便利です。また、リウマチの方、片まひのある方にも使いやすい形状の義歯ブラシもあります。
義歯の細かな隙間に浸透し、除菌とともにいやなにおいを除去するのが義歯洗浄剤です。寝る前に義歯を外して水に漬けておく際に、水の代わりに義歯洗浄剤を溶かした水に浸漬しておくこともできます。
義歯を装着している人は粘膜と義歯の間にものが挟まりやすく、義歯を外した後の清掃が必要です。
粘膜を清掃するときは、力を入れすぎないよう注意します。
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